ウクライナ戦争: 植物学者たちは貴重なコレクションを求めて命を危険にさらした

ジョアンナ・チザム

ヘルソン州立大学の 7 階から、オレクサンドル・ホドソフツェフとイワン・モイシェンコは敵をはっきりと眺めました。 それは12月の涼しい朝で、モスクワの本格的侵攻の初期からウクライナのヘルソン市を占領していたロシア軍は最近ドニプロ川を渡って東へ後退していた。 植物学部のガタガタする床から天井まで届く窓を通して、きのこ雲が地平線に垂れ込めていました。 彼らは、爆発はおそらく彼らが立っていた場所から5キロメートル以内離れたタンクから起こったと考えた。

その朝、植物学の教授である二人はキエフから電車で到着し、一部廃墟となったヘルソンの通りを通って大学に到着した。 都市はまだ砲撃を受けており、研究室にアクセスするには、ドニプロ川を見渡すステンドグラスの窓が並ぶ螺旋階段を敵に向かって登る必要があった。

彼らの使命は、歴史の一部を救出することだった。ヘルソン植物標本館は、32,000 を超える植物、地衣類、コケ、菌類のかけがえのないコレクションであり、何世代にもわたる科学者によって 100 年以上かけて収集されたもので、中には遠隔地を千キロメートルも旅して得たものもある。ウクライナの。 「これは芸術作品のようなものです」と52歳のモイシェンコは言う。 「それはかけがえのないものです。」

ウクライナ南部の港湾都市ヘルソンにあるようなハーバリアは、単なる分類学以上の意味を持っています。 それらは、種の絶滅、侵入害虫、気候変動の研究において重要な役割を果たします。 パリの国立自然史博物館には 950 万点の標本が所蔵されているが、決して世界最大ではないが、ヘルソンの植物標本はこの分野へのユニークな貢献という点で価値がある、とモイシェンコ氏は言う。 ウクライナでのみ発見され、絶滅の危機に瀕しているものもある希少種がその棚に記録されています。

2022 年 2 月 24 日にロシアの戦車がウクライナに進入したとき、大学に保管されていた乾燥、圧縮、保存された数千の標本だけでなく、それらの標本が収集された土地も脅かされました。 ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナでの「特別軍事作戦」を宣言してから17カ月以上にわたり、同国の保護地域の約30％に相当する数百万エーカーの土地が、無差別爆撃、放火、軍事演習によって破壊された。 非営利のウクライナ自然保護グループ（UNCG）によると、ロシア軍は数万ヘクタールの森林を焼き払い、800以上の植物を絶滅の危機にさらしており、その中にはほとんどが他所から姿を消した希少種20種も含まれている。

ウクライナ政府は、国土の3分の1が地雷やその他の不発弾によって汚染されていると推定している。 田舎の広い範囲は今後数十年にわたってアクセスできないままになる可能性がある。 つまり、ホドソフツェフ氏やモイシェンコ氏のような科学者が再びサンプルを採取できるようになるまでには長い時間がかかる可能性がある。

二人は昨秋、空洞化したヘルソン市に戻ることを熟考しながら、これらの考慮事項を検討した。 ロシア軍は11月に都市から追い出されたが、その後も砲撃を続けた。 地域当局者らによると、５月から１１月の間に少なくとも２３６人の民間人が砲撃で死亡した。 とにかく、ホドソフツェフとモイシェンコは出場を決めた。

「設備や建物を守るために誰かの命を危険にさらす必要はありません」とモイシェンコ氏は言い、貴重な顕微鏡を置き去りにするのがどれほど苦痛だったかを、悔しそうに語った。 「このコレクションに関しては、なくなったら終わりです。 それを取り戻す方法はありません。」

二人は避難計画を立て始めたとき、現地でのリスクを軽減するには、包囲された都市内で過ごす人の数と時間の両方を制限する必要があると判断した。 チームメンバーはホドソフツェフ氏、モイシェンコ氏、同僚2名のうちの1名という3名以上で旅行することはなく、各事業の持続時間は72時間を超えないこととした。 送電網は定期的にダウンし、市全体で午後 4 時の外出禁止令があったため、研究室への出入りには厳しい期限が設けられていました。 そして官僚制もありました。 51歳のホドソフツェフさんは、「戦時中は、たとえ国内を移動するのにも、文書などの証拠が必要だ」と語った。